試練 (Challenge):
1 メンター魂(Mentership)というものの大事さを非常に学んだ。企業再建、内部改革に懸命に邁進しているとつい外部の方々との交流は後回しになりがち。それが更に当事者の心と身体を孤独にしてしまう。時間を作ってでも会う行為は、再建責任者には重要事項と思う。
2 オープンドアーポリシー(いつでも部屋に来てください)というのは外資系では特に重要な人事戦略の一つとも言える。胸襟を開いて相談してみると、案外良いヒントがそこにはある。特に直接面談の重要性は今のSNS/PC会議/メール時代には有用。
3 淡々と昔話で、面白い話を聞いていたつもりが、実は、それらが真実と知った時の驚愕の思い。今更ながらもそれらの話に深いシニアならではの洞察と教訓を感じる。そして色々な縁(えにし)を感じる。
物語(Story):
1 ある外資系ファッションブランド会社にて勤務中、CFO(財務担当責任者)として、内部改革に多忙な日々であった。業務として、当時、海外親会社の株主がNike, Inc.であった。その為に、当社の会長はNike Japan社の方、皇(すめらぎ)さんであった。皇さんは、Nike Japan社にいらっしゃったので、業績報告に年に数回は訪問するのが仕事のひとつであった。いつでも来なさい、と言われても足がなかなか向かない事だった。
2 非常にオーラのある方で、優しげな雰囲気の中でも眼光鋭く、ポイント厳しく私の報告に質問をされていた。当たり前だが、私より余程、当時のビジネス背景、会社の歴史には深い知見をお持ちであったので、その僅かな面談時間は汗が出る緊張の連続だった。
3 ある報告の時に、「あと何分で終了か?」と言われて、慌てて切り上げた。「君はこれから会社に戻るのか」「いえ」「宜しい、なら一緒にきたまえ」と言われて、さっさと階下に一緒におりタクシーに同乗。そこで連れていかれた普通の純和風居酒屋で、普通の飲み会。会話はさておき、皇さんがいかにそのお店で有名か、そして周りを盛り上げる方かを知る。居酒屋会話は、非常に為になる話の数々で自ら壁を破壊して遠慮を取り払う重要さを感じた。酒豪であるのがそこでわかった。
4 その後、毎度の報告後の二人だけの酒宴だったが、食事前にはオフィス以上にこんこんと経営方針に対して指摘され汗をかきながら、拝聴していた。その後に、Nike, Inc.創設時代に皇さんがシアトル駐在員でどう若いベンチャー企業だった同社と対峙していたか、そして、Nike, Inc.の為に奔走されたという話を多く知る事となった。Nike, Inc.量産品誕生の話等面白くお聞きしていた。映画をみるような語り口の数々だった。
5 その会社を退職して数年後、Nike, Inc. の創業者フィルナイト氏の自伝「SHOE DOG」を買って読んでいて驚いた。文字通り驚愕した。まさに、その本に、Mr. スメラギのこと、という章があって、フィルナイトはいかに支援をしてもらったかを絶賛してあった。飄々とした中でも鋭い眼光の皇さんの姿を思い出させてくれた。皇さんが日本支社を退任の際には、Nike, Inc.本社にご夫婦で招待され当時の創業メンバーが集まっての小さなしかし素晴らしい謝恩会を開いたという話もお聞きした。まさに、同社にとっては闘う同志の扱いだったんだろう。直接、皇さんからお聞きした数々の話を思い出すばかりだった。
6 フィルナイトの自伝によると、彼が創業前からの勝負服の話があった。Brooks Brothersのスーツとネクタイはここぞという時には、必ず着ていたと。度々その記述があって、そのブランド会社に私がその後お世話になった事にもなんともいえないご縁を感じたものだった。
学び(Takeaway):
Mentershipは、いつでも話せる雰囲気づくりや、支援の姿勢、厳しさ、そしてユーモアも大事
