Case #3 : Brooks Brothers 表参道開店プロジェクト

試練 (Challenge):

1    伝統と格式あるファッションブランドであり誰もが知る超有名ブランドで、日本の本店も40周年を迎える中でのビル側の事情による移転であった。入社前から決定事項であるが、青山地区では大規模土地開発が進行中であり、候補物件は何年も探していたが出てきていなかった。

 

    閉店情報は日本支社としてもビジネスインパクトから極秘であったし、物件が見つからない焦りが経営陣には日々募っていた。他にも経営課題はあったが、青山本店という日本支社最大の稼ぎ頭の移転は、失敗の許されない壮大な決断を要していた。

 

3    日本支社CEOの政治力と統率力の下で、閉店の記念式典(お知らせ、広報、広告宣伝活動、雑誌インタビュー等)をCEOが実行しつつ、CFOとしてCOOの協力を得ながら、新物件の策定から開店までの段取りを計画し実行した。財務、人事、管理部隊の統括責任者でありつつ、過去の店舗開発と似たようなまったなしのタスクの進行を実行せざるを得なかった。

 

4    伝統有名ブランドのファン層(社外/社内)の分厚さを改めて再発見しつつ、新たな日本店舗の展開を内外に知らしめる新規デザインと新たな場所での本店標榜を実行する事は、これまで以上に最大の心的プレッシャーを受けながらの実行であった。成功の最大の原因は、CEO/COO/CFOの3人の信頼と経営上の決断を必ず成功裡にもっていくというリーダーシップ、他経営陣の協力体制だったと今でも思う。

 

物語(Story):

    Brooks Brothersは、ブランド創業し200年を超える米国最古のファッションブランドと言われている。NY旧本店は、壮大な本社ビル内にあり、米国大統領のほとんどが愛用している伝統を誇る理由がここには満載していた。青山本店は、かつては聖地として開店から40周年を迎えたが、ビルの耐震構造強化のために建て替えが入社前に決定していた。


2    CFOとして入社し財務面の強化、管理部門の強化をしつつ人事も兼任(CHRO)となる多忙な中で、青山本店になり変わる場所を至急探せねばならなかったが、青山地区も銀座に劣らず、狭い場所にブランド競合は激化の一途で、家賃も青天井状況であった。


3    退店の時期は刻々迫るなかで、くだんのK氏から物件情報を貰い、現地に行くが2年後の場所で更地状態。そこでどうイメージが沸く訳ではないが、周りの環境、トラフィックを観察し、日本支社CEOに報告。COOも他物件を持ち、内部検討しつつ、CEOによる海外本社会長と主要役員への説得と財務、人事畑の役員説得を並行で行う。日本支社の株主折衝はCOOが実行。多くの顧客には大いなる郷愁を誘う青山本店(旧日本支社と併設の大型店舗)の閉鎖の段取りを横目にみつつ、条件交渉を新ビルオーナー企業相手に行う。


4    Brooks Brothers-NYにとっては新店舗へのスィッチングは海外本社と日本支社共に、一大決心を要する最重要課題のひとつであるが為に、新店舗場所の説明、投資計画、新規店舗の採算計画(旧青山本店との比較)店長/販売員の選抜方法など大量の資料作成の日々。電話/ビデオ会議もCEOと共に行い本社会長と役員の説得交渉を続ける。


    NY本社から会長と役員の来日時には、現地周りを歩きながら解説、他ブランドの集積も解説。かつて銀座店をもっていたこのブランドは、Cole Haanとは違った角度でのブランド戦略に対しての執念や情熱、想いがあるために、(日米政財界にもファンが多いのもうなづける)質問は多岐に渡った。CEOの政治力が効いたが、無事会長と役員の承認がおりたが、ビル建築と店舗デザインは、更地であっても至急の合意がないとできない。


    日本支社内では、青山地区で場所が見つからない事への焦りといつ顧客に閉店情報を出すか、かつての聖地がなくなる事でのモチベーション低下、混乱については、CEO/COOが誠実に社内説得しつつも、新店舗情報は暫くは社内でも秘匿情報扱いで動いていた。情報リスク管理としては相当学んだ。


    やがて条件交渉も整い合意形成し、旧本店のビルオーナーへの報告から社内情報共有、人材選抜の開始(大型本店からコンパクトな店になる為に減数必要)店長選抜等をやりながら、デザイン施工会社とビル設計事務所との交渉が開始される。既に綱渡状態であるのは明白。


    新店舗は、地上2階、地下1階、同じビルを有名化粧品ブランドと両翼を埋める事は、単独ブランドで長年営業してきた経験上議論百出。メンズがメインの当ブランドと女性メインの化粧品商品ブランドの並列を面白いとCEOから説得を図り収める。実験的に婦人服を1階に据え、2階はカジュアルメンズ、地下1階は格式あるNYと同じ想定での部屋を設定したが、外観はガラス張の相当先進的な見え方がされる店舗となった。

学び(Takeaway):

伝統と格式あるブランドの旗艦店のスィッチングは経営者/経営チームの相互信頼と情熱、執念で成し遂げられた